大切な人と生涯をともに歩むことを決意し、プロポーズをする際には婚約指輪が必要だと考える人も多いでしょう。婚約指輪は二人の愛の記念品ともなりますので、しっかりとした知識を持ち、特徴などを学んでおくことが大切です。また、選び方も知っておくことで、プロポーズを成功へと導きます。そこで今回は、婚約指輪の基礎知識を説明し、上手な選び方を詳しく紹介します。

婚約指輪について知っておくべき基礎知識

「結婚してください」の言葉に沿える贈り物として知られているのが婚約指輪です。エンゲージリングと呼ばれることもある婚約指輪は、プロポーズの必須アイテムだともいえるでしょう。婚約指輪は、結婚指輪のようにペアで揃えることはなく、男性から女性へ贈るのが一般的です。そんな婚約指輪には長い歴史があり、深い意味も込められています。婚約指輪の歴史にはさまざまな説がありますが、人類最古の婚約指輪だといわれているのが、古代エジプト時代のものです。

当時の婚約指輪は麻を編んだだけのものでしたが、麻の指輪を左手の薬指につけることで婚約を意味していました。その理由は、左手薬指には心臓へとつながる愛の血管が通っていると考えられていたことにあります。薬指は愛の力が宿る場所といわれ、婚約指輪をつける場所としてふさわしかったのです。その後、古代ローマ時代には、鉄の指輪を婚約指輪として使用するようになります。この時代には、力の象徴として婚約指輪が贈られるようになりました。しかし、鉄はさびてしまうことから、3世紀ごろには金や銀素材のものが登場します。そして、婚約指輪に男性側の財力を保証するという意味も付け加えられるようになりました。

婚約指輪にダイヤモンドが選ばれるようになったのは15世紀からです。それまではルビーやサファイアなどが使われていましたが、ダイヤモンドがもつ「永遠の絆」という意味が婚約指輪にふさわしいと考えられるようになりました。それだけでなく、ダイヤモンドの硬度と丈夫さから、決して壊れることのない愛の象徴として選ばれています。そんな婚約指輪を日本で贈る習慣が始まったのは、明治時代のことです。結婚の約束を形にする婚約指輪は、婚約という大きな節目を彩ってきました。

婚約指輪の相場はいくら?

かつての婚約指輪は「給料の3カ月分」ともいわれ、非常に高価なものと考えられていました。ただ、近頃の婚約指輪の相場は20~40万円程度に落ち着いています。無理をして購入するものではなく、頑張れば手が届く現実的な価格帯が人気であるともいえるでしょう。というのも、結婚には婚約指輪だけでなく結婚指輪も必要だと考える人が多いからです。結婚指輪の相場はペアで20~25万円程度であり、結婚指輪と婚約指輪の両方をそろえると40~50万円もかかります。そういった理由から、20~40万円程度の婚約指輪が主流になっているのです。

しかしながら、1つで20~40万円という婚約指輪は、高価なことに変わりありません。ただ、それ以上の価値は十分に感じられるのです。高価な婚約指輪を贈ることは男性にとってパートナーを生涯幸せにするという決意の表れにもなります。それと同時に、婚約指輪を受け取った女性もパートナーを支え続けようと意識するようになるでしょう。また、貴金属やダイヤモンドは色褪せや腐食がありません。そのため、子どもや孫に代々受け継がれていく財産としての価値も生み出せます。

指輪の各部分の名称は?

婚約指輪を選ぶ際には、指輪の各部分の名称を覚えておくのがいいでしょう。ショップでは店員さんと話をしながら決めることも多くみられますが、その際にも各部の名称がわかることで、指輪選びがスムーズに行えます。婚約指輪では、指輪の中央にダイヤモンドがセットされているものが多いでしょう。指輪の中央にセットされた石は「センターストーン」と呼ばれています。センターストーンの横についている石は「サイドストーン」です。0.1カラット以下の小さなダイヤ部分は「メレダイヤ」と呼ばれ、石をリングに止めている部分は「爪」といいます。爪はプロングと呼ばれることもありますので覚えておくのがいいでしょう。爪の数は6本が一般的ですが、デザインによって本数が変わることもあります。さらに、石の下で石を受けている部分は「石座」です。その他にも、立爪型の爪と一体になった石枠の部分を「シャトン」と呼びます。

指輪の基本的なデザインは?

婚約指輪は既製品として売られているものが少なく、注文を受けてからオーダーメイドで作られるのが一般的です。ダイヤモンドと枠のデザインの組み合わせは無数に存在しますので、注文する際に困らないよう、あらかじめ指輪の基本デザインを知っておきましょう。婚約指輪のデザインにおいて、宝石の配置は非常に重要です。基本的な宝石配置のデザインには「ソリティア」、「メレ(付き)」、「パヴェ」の3種類があり、それぞれに違った印象を与えます。まず、ソリティアは婚約指輪の王道ともいえるでしょう。リングの真ん中に一粒のダイヤモンドが置かれているデザインです。ダイヤモンドを主役にしたソリティアは、余計な装飾がないことでダイヤモンドを美しく引き立てます。シンプルでありながらも、ダイヤモンドの大きさや形状、爪のあり・なしなどで雰囲気を変えることが可能です。

センターストーンの周囲にサイドストーンがちりばめられたデザインは、メレと呼ばれています。華やかな印象を持つメレは、センターストーンを引き立てるためにデザインされました。サイドストーンの数や大きさでオリジナリティが出せるのが特徴です。大き目のセンターストーンを囲うように小さなサイドストーンが並べられているものや、センターストーンをサイドストーンで埋めるように配置したものなど、さまざまなバリエーションから選べます。

パヴェは、フランス語で石畳みを意味し、石畳のようにアームにメレダイヤが敷き詰められたデザインです。小さなダイヤモンド1粒1粒が密集するように配置しているため強い輝きが特徴で、コージャスな魅力にあふれています。存在感があり、きらびやかな指先が演出できるでしょう。また、パヴェにはセンターストーンがあるものとないものがあります。センターストーンがあることで豪華さが増しますが、センターストーンを持たないものの場合には、繊細な美しさが楽しめるでしょう。

婚約指輪の選び方のポイント

サプライズでプロポーズをしようと考えている場合には、婚約指輪の選び方にひと工夫が必要です。サプライズプロポーズでの婚約指輪は彼女に内緒で購入しなければいけないため、彼女の指輪のサイズを知っておかなくてはいけません。また、婚約指輪を気に入ってもらえるよう、彼女の好みも下調べしておきましょう。シンプルなデザインが好きなのか、華やかなデザインに憧れるのかといった点だけでなく、ダイヤモンドの大きさやアームの素材についても調べておくことが大切です。可能であれば、彼女の友人から憧れの婚約指輪のデザインを聞き出してもらうのもいいでしょう。

そういったリサーチをもとにショップのスタッフに相談します。ショップのスタッフは婚約指輪選びのプロですので、的確なアドバイスがもらえるでしょう。ショップに行く際には彼女の写真などを持参するとイメージが伝えやすくなります。ただ、婚約指輪というのはオーダーメイドですので、すぐには手に入りません。仕上がりまでに1カ月かかることもありますので早めに注文しましょう。さらに、指輪のサイズが違った場合も想定し、サイズ修正が可能な指輪を選んでおくことも大切です。

輝きを失わないための婚約指輪の取り扱い方

彼女を一生大切にするといった思いが込められた婚約指輪ですので、いつまでも輝き続けてほしいと願う人も多いでしょう。しかしながら、ダイヤモンドには親油性があり、手の油分が付着しやすいといえます。さらに、ダイヤモンドに付着した油分にほこりが重なると、輝きが失われてしまうのです。そのため、婚約指輪はきちんとメンテナンスをしておきましょう。まず、1日の終わりなど指輪を外した後にはやわらかい布などで、きれいに拭いておきます。長い間使い続けることでたまってしまった汚れは、中性洗剤などで洗いましょう。婚約指輪のアームとして使用されることの多いプラチナは、やわらかくて粘りのある素材です。加工やメンテナンスがしやすい金属であり、経年変化を感じることが少ないでしょう。それでも、毎日お手入れを続けることで、婚約当初からの輝きを保ち続けられます。

プロポーズ前に婚約指輪についての知識を得ておこう

プロポーズでは結婚の意思だけでなく、婚約指輪でも喜んでもらいたいという男性が多くみられます。ただ、彼女に喜んでもらえる婚約指輪を選ぶためには、婚約指輪の知識をしっかりとおさえておくことが大切です。彼女の好みやサイズをしっかりとリサーチし、選び方のポイントも知っておくことで、失敗のない婚約指輪選びができます。さらに、万が一に備えてサイズ修正が可能なデザインを選んでおくのもひとつの方法です。上手に婚約指輪を選び、プロポーズで永遠の愛を伝えましょう。